坂本勇人のスタメン落ちは果たして「当然」なのか

コラム

開幕直後の不振はどこまで評価に値するのか

2026年4月4、5日の対DeNA戦、2試合続けて巨人のスターティングラインアップに坂本勇人の名はなかった。シーズンの開幕から9試合を終えた段階で坂本は22打席でわずか1安打、打率.050にとどまり、ファンからも厳しい声が上がっている。

ここまでの数字だけを見れば、スタメンから外すという判断も無理はないだろう。結果がすべての世界において、状態の上がらない選手を外すこと自体は自然な流れだ。ただ、その一方で引っかかるのは、「この時期の数字だけで評価してしまっていいのか」という点である。

ペナントレースは143試合という長丁場だ。開幕直後の数試合、あるいは1カ月程度の成績は、そのなかのほんの一部に過ぎない。それにもかかわらず、この時期は日々の結果が強く印象に残りやすく、評価が極端に振れがちになる。たとえシーズン序盤は不調だったとしても、あとから振り返れば「ただスロースターターだっただけ」といえる成績を残すこともあるだろう。

実際、坂本自身がそれを示している。2023年シーズンは開幕から4月8日に1号本塁打を放つまで22打席無安打と、今季以上の不振に陥っていた。しかし、5月以降復調し、最終的には打率.288、22本塁打、60打点を記録。短期的な不振が、そのままシーズン全体の結果に直結するわけではないことを示す一例だ。

スロースターターは決して珍しくない

こうした「開幕直後に不振 → 最終的に復調」という流れは、決して珍しいものではない。過去の成績を振り返ると、最終的にタイトルホルダーとなった選手であっても、シーズン開幕直後に低迷したケースが見られるのだ。

たとえば坂本と同じく2023年シーズンだけを見ても、最終的にセ・リーグ本塁打リーグ2位となった村上宗隆(ヤクルト)、パ・リーグ本塁打王に輝いた浅村栄斗(楽天)も、坂本と同様に3・4月は打率1割台と苦しんでいた。

選手3・4月打率最終打率備考
坂本勇人(巨人)2023.186.288
村上宗隆(ヤクルト)2023.157.256本塁打リーグ2位
浅村栄斗(楽天)2023.198.274本塁打王、打点・安打リーグ3位

打者にとって、シーズン序盤は調整の過程にあるケースも多い。ルーキーや新外国人投手などとの対戦データがそろっていない状況での試行錯誤や、自身の状態を探りながらの打席が続くなかで、数字が安定しないのはある意味で自然なことでもある。

もちろん、現在の坂本の状態がよくないこと自体は紛れもない事実だ。ただ、その不振がどこまで続くのか、あるいはどのタイミングで本来の姿に近づいていくのかは、もう少し長いスパンで見ていく必要があるのではないか。

近年、その衰えを指摘されることが増えてきた坂本。坂本は本当に“終わった”のか、それともまだファンに希望を見せてくれるのか――。シーズン終盤まで現役レジェンドの奮闘を見守りたい。

文/清家茂樹

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