先制されても負けないヤクルト。逆転勝利が示すチームの変化とは?

コラム

先制を許しても大崩れしない先発陣

2026年4月12日の対巨人戦に2-0で快勝し、今季10勝目を挙げたヤクルト。シーズン前の下馬評を完全に覆し、連覇を狙う王者・阪神に0.5ゲーム差と迫る2位につけている。

その戦いぶりで興味深いのが、「先制されても最終的に勝つ」試合が多いことだ。ここまでの10勝のうち、じつに5勝が相手に先制を許した試合である。

もちろん、先制されること自体は決して褒められたものではない。ただ、今季のヤクルト先発陣は、そこから大崩れしないのだ。

日付対戦球団先発投手投球回失点
3月27日DeNA吉村貢司郎5回1/32(自責2)
3月29日DeNA高梨裕稔6回1(自責1)
4月2日広島奥川恭伸7回1(自責1)
4月4日中日山野太一6回4(自責4)
4月5日中日高梨裕稔5回1/34(自責2)

逆転勝利を収めた試合の先発投手はいずれも試合を壊さず粘り強く投げており、失点こそあるが、試合を決定づける崩れ方はしていない。先制を許しながらも試合をつくる——その積み重ねが、逆転を呼び込んでいる。

事実、チームの先発防御率2.63は、現在リーグ3位。阪神(2.15)、広島(2.28)に次ぐ水準であり、昨季の3.89からは大きく改善している。打線の奮起を待てるだけの“余白”をつくれている点が、いまのヤクルトの特徴といえるだろう。

逆転を呼び込む圧倒的リリーフ陣

その強さをさらに際立たせているのが、救援陣だ。今季の救援防御率1.59は、圧倒的なリーグトップ。この数字は、藤川球児監督が「チームの心臓」と称した昨季阪神の救援陣が残した1.96と比較してもなお高水準であり、数字が変動しやすいシーズン序盤とはいえ際立った安定感を示している。

先制されても、試合が壊れない。中盤以降もリードを広げられない。その状態が続くことで、野手陣は焦らずに反撃の機会を待つことができる。

「逆転のチーム」というと打線のイメージが先行しがちだが、実際には投手陣、とりわけ救援陣の安定こそが、その土台にある。現在のヤクルトの逆転は、単なる偶然ではなく構造として生まれているものととらえてもいいのではないか。

ヤクルトといえば、2012年の3位を最後に3位・4位がないチームとして野球ファンに知られる。優勝か最下位か——その振れ幅の大きさが特徴であり大きな魅力だ。2021年のリーグ制覇も、前年最下位からの躍進だった。

では、2025年に最下位に沈んだチームは、今季どこまで跳ね上がるのか。この“逆転体質”が本物であるならば、その答えは決して意外なものにはならないはずだ。

文/清家茂樹
※数字は2026年4月12日終了時点

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